2009年4月12日(日)付
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タイの混乱―アジアの信頼回復を急げ
こんな事態になると誰が予想しただろうか。タイ中部のパタヤで開かれる予定の東南アジア諸国連合(ASEAN)などアジア16カ国による首脳会議が、デモ隊の会場への乱入によって中止されてしまった。
日中韓首脳会談など一部の会議は別の場所で開かれた。しかしASEANと日中韓、さらに、そこにインドやオーストラリアなどが加わる東アジアサミットなど、主要な会議は開けなかった。首脳らがヘリで脱出する騒ぎになり、議長役のタイのアピシット首相は地元に非常事態を宣言した。
タクシン元首相を支持する赤シャツ姿のデモ隊は、現政権の退陣を訴えて事前に会場周辺に集結していた。タイ当局がなぜ有効な規制を行えなかったのか理解しかねる。
そもそも一連の首脳会議はタイの政治混迷によって昨年末の開催を持ち越したものだ。開催国として中止は大きな失態だと言わざるをえない。
今月初めにロンドンで開かれたG20の会議には、アジアからも日中印などの主要国が参加し、内需拡大を進め、保護主義と戦うことで一致した。それを受けて今回、不況脱出の先導役を期待されるアジアがどう足並みをそろえるのか、注目されていた。
会議の中止によって金融市場にすぐ混乱が広がるとは思えない。しかしその影響を過小評価してはなるまい。
米国発の不況の波が世界に広がった昨年秋以降、アジア首脳は一度もこの問題について全体的な討議の場を持ちえていない。日中韓がASEAN支援策を持ち寄って議論を戦わせるどころか、アジアは自らの声を国際社会に発信する場をまた失うことになった。
タイの反タクシン派とタクシン派との政治対立は深まるばかりだ。
昨年末の首脳会議を延期に追い込んだのは、黄色いシャツを着た反タクシン派によるバンコクの空港占拠事件だった。この事件の後、反タクシン派にかつがれて政権を発足させたアピシット首相は2月の来日時、政治混乱を収拾させることを誓った。
この事態で、アピシット政権のかじ取りは一層難しくなるだろう。タイでは7月に日米、ASEAN各国などが参加する外相会議、12月には一連の首脳会議が予定されている。果たして開催できるのか心配だ。
アジアが直面するのは経済不況だけではない。ミサイルを発射した北朝鮮や、軍事政権の支配が続くミャンマー(ビルマ)に加えて、人身売買や麻薬問題、地域紛争など、解決を急がねばならぬ課題を抱えている。
首脳会議の中止によってタイの信頼は失墜した。しかしそれ以上に深く傷ついたのは、アジアの安定と発展のイメージである。関係国は信頼回復の取り組みをすぐに始めねばならない。
結核―過去の病気と侮れない
若手の人気女性タレントが肺結核になり、入院した。「今ごろ結核?」と驚いた人も多かったのではないか。
結核といえば、石川啄木、樋口一葉といった人物が思い浮かぶかもしれない。かつては不治の病であり、幾多の若い命を奪った。長く死因のトップで、国民病とも呼ばれた。
第2次世界大戦後、栄養状態がよくなり、薬も登場して死者は激減、話題に上ることも少なくなった。
だが、結核は決して過去の病気ではない。治るといっても治療に時間はかかるし、約1割の人が亡くなる。ほかの人にうつすおそれもある。厄介な病気には違いない。
新たに結核になる人は、1年に約2万5千人にものぼる。人口10万人当たりにすると07年は19.8人だった。世界保健機関(WHO)の分類では、欧米の主要国が10人以下の低蔓延(まんえん)国なのに対し、中蔓延国となってしまう。先進国の中では一番多い。
今の予測では、日本が10人以下になるのには10年以上かかる。
現状は、決して楽観できない。
日本で結核になる人の半分は70歳以上だ。若いころに感染し、生き残っていた菌が、免疫の低下によって活動し始めるらしい。社会の高齢化は患者数を押し上げるだろう。
栄養状態が悪く、医療からも遠ざかりがちな貧困層の拡大も患者増につながりかねない。
一方、若い人には免疫がなく、閉鎖空間などで感染しやすい。全国各地の病院や学校で集団感染が相次いでいるのも気がかりだ。早めに対応すれば、防げたと見られる例は少なくない。
結核といえばツベルクリン反応とBCGがおなじみだったが、今は、子どもの結核予防のために乳児期にBCGを接種することになっているだけだ。
免疫力を保ってかからないようにするとともに、早く見つけて確実に治療することが何より大切だ。
中蔓延国に住む私たちは、せきが長引くようなら、結核を疑って受診することを心がけたい。医療側には確実に診断できる態勢が求められる。
治療には、薬を半年間、毎日欠かさず飲む必要がある。薬の飲み方が中途半端だと、薬が効かない耐性菌ができてしまうためだ。すでに、複数の薬が効かない多剤耐性菌が出現している。
結核医療は採算性が悪く、病棟の閉鎖も続く。患者の多い都市部では病床が不足がちだ。他の病気が重なったむずかしい症例も増えている。新しい発想で医療態勢を整える必要がありそうだ。
世界に目を転じれば、結核はアジアやアフリカで猛威をふるい、06年には165万人が亡くなった。世界の結核対策に貢献することも日本の責任だ。
結核との闘いはまだまだ続く。