遺伝子組み換え米、中国市場に流通？　グリーンピース調査で発覚

　【北京＝川越一】中国のスーパーマーケットに遺伝子組み換え米が流通していることが１７日までに、国際環境保護団体グリーンピース中国支部の調査で明らかになった。遺伝子組み換え作物の人体への影響は明らかになっていないが、中国産農作物への不信感がさらに高まる可能性がある。

　調査報告書によると、同団体は昨年１０月２９日から約３週間かけて、北京や天津、成都など８都市、計１９店舗で調査を行った。調査対象となったコメ６種類のうち２種類から、遺伝子の組み換えでできる特定の害虫を駆除するタンパク質が検出されたという。

　同団体は報告書の中で、「多くの研究結果が遺伝子組み換え食品の長期的な安全性に警告を発している。実験用マウスが遺伝子組み換えトウモロコシを食べた後、免疫系統に異常をきたした例もある。人体への長期的影響は未知の領域だ」と指摘。過去には、遺伝子組み換え飼料が用いられた鶏肉を食べた消費者がアレルギーを起こしたケースも報告されている。

　日本や欧州連合（ＥＵ）域内では遺伝子組み換え作物の栽培が禁止されている。栽培が認可されている中国でも、流通は禁じられている。中国の農業関係者は最近、遺伝子組み換え米が市場に出回るにはさらに期間を要する、と語ったばかりだった。

　同団体は「コメは中国人の最も重要な主食だ。乳幼児の成長には粥やビーフンが欠かせない。遺伝子組み換え米の流通は、法律を踏みにじるだけでなく、消費者に危険を押しつけ、健康への脅威となる」と主張し、報告書を中国農業省に提出した。

　中国の英字紙、チャイナ?デーリーによると、農業省関係者はデータの信ぴょう性を疑いつつも、調査を約束したという。